活動レポート
DAY5|レポート|中間発表会【STAND IBARAKI 2022】
STANDIBARAKI2022中間発表会を11月12日(土)に行いました。
ローカルプロジェクトで大事なのは「小さくてもまずは実践すること」。プロジェクトオーナーたちがこの数ヶ月間、自身のプロジェクトを実践してきたことで得た気づきや成果、課題感を共有しました。
開催概要
<日時>
2022年11月12日(土)13:00~17:00 @茨城県庁
中間発表
18組のプロジェクトオーナーによる中間発表は各3分。発表後にそれぞれSTANDのメンター1名から3分間のフィードバックが行われました。
発表者と報告の概要は以下の通りです。
プロジェクトオーナー:蛯名 雄太郎さん
蛯名さんが大学生だった当時発生した東日本大地震。ボランティアとして津波で被災した北茨城市で活動した蛯名さんは、その際「地域の繋がり」を強く意識したそう。また、昨今のコロナ禍でなかなか人と会う機会が取れない中、あらためて友達や仲間との付き合いが大事であると感じたことから、自身のプロジェクトをスタートしました。
蛯名さんの強みは学生・企業双方とのつながりがあること。NEW 310の活動は茨城大学前のエリアで行い「デジタル」を活かして学生に活躍してもらう機会の創出を狙います。
最近立ち上げたコワーキングスペース「SUN EACHO」の活用はまだこれからの段階ということで、
場所を使いたい人や運営を応援してくれる人を募集中と発表しました。
地域の必要性が重なる部分の提案に共感します。これからイベントを行うとのことでトライアンドエラーになると思いますが、たとえ失敗をしても何度も挑戦して結果を積み重ねて、その先のプロジェクトの実現を目指してほしいです。
メンター神永さんのコメント
プロジェクトオーナー:大越 瑞生さん
「いい感じに暮らしたい」が活動のすべて、と語った大越さん。「いい感じ」は具体化して伝えるのが難しいとして、大越さんはまずは自分が思う「いい感じの暮らし」を実践し、その様子を毎日Instagramに掲載することを継続中。その結果、現在では発信をみて周りに人が集まってきているのだそう。
重要視しているのは「笑顔・時間・食事」の3つ。他の人も大事に思うことの根っこは同じなのではないか、ならばシェアしよう、というのが活動の起点だと話します。
主な活動場所は、生まれ育った地域であり自身の所有するアパートがある茨城大学前のエリア。自分が大家のアパートを「Co-mito」と名付け場所を開きました。「いい感じに暮らす」結果、地域の課題が解決し、まちがつくられたらみんなが幸せになると話す大越さん。現在Co-mitoで暮らす仲間を探しています。
大越さんが本当に楽しそうにプレゼンしているのが、とても良いと思いました。通常「課題解決」のために動くプロジェクトが多いが、本人が楽しいことが先に来るのは、見ていて面白そうで協力者が得やすい。ただ最終的にどうしたいかが分からず、僕らは何を手伝えばいいかわからないので「いい感じ」の正体をもう少しロジカルに説明できるようになったら、もっと良いと感じています。
メンター中川さんのコメント
プロジェクトオーナー:大森 湧太さん
大子町出身の大森さんは、自分の高校時代に比べて現在の大子は活気があるが、それを仕掛けているのは親世代や、町外からやってきた移住者たちだと感じていたのだそう。大子の若者がもっとまちづくりに関われるようにしたいという思いからこのプロジェクトを立ち上げたと発表しました。大子にはアウトドア資源があるが、そのイメージが浸透していないことが課題として、自身の本業のデジタルマーケティングのスキルを使って魅力をPRする予定です。
大森さんのプロジェクト「アウトドアベース大子」で行うのは、アウトドア道具のシェアリングとアクティビティ体験の予約。実際に11月には町と協力してサップ・カヌー・テントサウナの体験を実施し、県内外から9名の参加実績を得たそう。2023年には2回目のイベントを予定中です。現在ひとりでSNSやイベント運営全般を行っているため、協力者を募集しています。
大子町の認知度が上がってきたという結果が出ている。プロジェクトが着実に進んでいるのも良いと思います。前回自分がメンタリングをした時よりさらにプロジェクトがまとまっていますね。
アクティビティ予約の構築は多分とても大変な作業。やることも多いと思うので、仲間を得た方がいい。残りの7カ月の間に仲間を増やしていってください。
メンター柴田さんのコメント
プロジェクトオーナー:岡﨑 佑汰さん
活動のコンセプトは「学生という未来の光に彩りを」。やりたいことができない学生や、やりたいことがない学生、学生を巻き込みたい地域の人を繋ぎ、「やりたい」を叶える環境をつくりたいと話す岡﨑さん。強みは自分も地域の大学に通う学生であること。メンバーは現状では自身のみのため、これから学生や社会人を巻き込んでいきたいと考えています。
現在、身近な課題だと感じるのは学生が一歩を踏み出していないこと。プロジェクトでは、「やってみたいこと」を見つけるプログラムを開催予定。学生を地域に飛び込ませ、ゼロから1を生み出したいのだそう。最近、アイデアを語るイベントを大学内で実施したという岡崎さん。今後は学外に飛び出して地域での活動実行を目指します。
地域の人は、ただこちらが待っていても来てはくれない。地域に入るには、まずはこちらから丁寧に挨拶回りをしたりといった地道な関係づくりが必要になってきます。
今回イベントを実施できたことは、とても良い一歩になったと思うので、学内イベントを地域の人に公開して意見をもらうのも次につながるのではないでしょうか?仲間集めは「何のためにやっている活動か」というゴールをブラッシュアップすると人が集まってくれるようになるはずです。
メンター飯野さんのコメント
プロジェクトオーナー:横地 綾人さん
2018年6月に潮来市に移住すると共に、勤め先の東京と潮来の往復200kmのバス通勤を開始したという横地さん。当時、潮来は「眠りに帰る場所」という感覚だったものの、県内のイベントに参加することで次第に茨城や潮来に根っこが生えているのを自覚するようになったそう。その後、潮来市の地域おこし協力隊との会話をきっかけに、潮来の水辺に注目。LOC SUP ITAKOを立ち上げ7月から活動を開始しました。
「まずは市内で認められないことには、市外にも認知されない」として、現在、毎週末のようにイベントで、協力隊や青年部会と共にSUP(サップ)の体験やPR活動をしていると話します。今は、自分達が水辺で楽しんでいる姿を見せるステップを実行中の段階。最終目標はSUPの周知ではなく「水辺にみんなが目を向けてくれること。水辺の未来マップを作りたい」と横地さんは発表しました。
SUPというコンテンツは、子供から年配の方まで負荷を変えて楽しめることから、対象者が広くて良いですね。自分が楽しむことで人を巻き込むのはとても大事なポイントだと思います。継続が大事なので、毎週末大変だと思いますが引き続き頑張ってください。水辺マップ完成に向けて、幅広いプレイヤーと知り合えると良いですね。メンターは周りの人の巻き込み方を考えるのが得意な人ばかりなので、ぜひ面談の活用を。
メンター樋口さんのコメント
プロジェクトオーナー:ポン子さん
茨城県は脳血管疾患の患者さんが多く、その後遺症による失語症に悩む人も多いと話すポン子さん。
失語症の高齢者と家族のコミュニケーションを楽しくスムーズにする手伝いをしたいと立ち上げた活動が「漫画書簡」です。コンセプトは「会えない時もこの1ページが誰かの生きる力になる」。自身の強みは漫画が描ける事と、漫画を書いて失語症の祖母の入院先に通いコミュニケーションをとった経験がある事。
漫画書簡のサービスは主に2つ。一般に向けて、間口拡大を図る近況報告漫画「あのね・あのね」と、メインターゲットとする失語症の高齢者と家族向けに、家族の思い出を漫画化する「むかし・むかし」。
活動は主にSNSで実施中で、今後も県内のイベントや失語症のコミュニティや勉強会にも参加し、さらに人脈と認知拡大を図る予定だそう。メンバーは現在3人、ポン子さんは「これから100人くらいを巻き込みたい」と話しました。
100人にメンバーを増やすのは大変だと思いますが、漫画は共感を生みやすいコンテンツなので実現可能なのではないでしょうか。勉強会に参加するなど活動の努力がすごいと感じるので、それも表に発信して見せていくといい。顔出しNGの制限があっても、漫画を使えば障壁にならない気がしました。
メンター野口さんのコメント
プロジェクトオーナー:齊藤佑飛さん
「ノープランイバラキ」
齊藤さんのプロジェクトは、地域の人の声から作る共創型観光案内。観光情報サイトやSNS、本など、観光スポットを知ることができるコンテンツはあるが「どうやって現地に行けば良いのか」「スポット同士をどう結ぶのがいいのかがわからない」という悩みにアプローチする旅のテンプレートづくりを目的としています。
検索サイトや飲食店の口コミサイトを使うと他の人と同じような観光ルートになってしまうため、ノープランイバラキでは、地域の人のおすすめをもとに点在するローカル情報を「線」としてまとめるのだそう。
使用するのは、Googleマイマップのピン機能とSNS。使う人にあわせておすすめのプランを提案予定で、いつかは音声コンテンツを追加してハンズフリーの観光コンテンツ化を目指すとのことです。
旅行先の場や人を紹介するメディアは多いですが、「楽しみ方・体験」を紹介するというアプローチは面白いと思います。茨城県の中の人が気づかない面白さを外の人目線でどう発見してもらえるかも楽しみです。
メンター小池さんのコメント
プロジェクトオーナー:佐野 匠さん
「たのしごとうれしごと」
「仕事が楽しかったら、人生は楽しい」。夢中になって仕事に取り組める状態をつくりたい、というのがプロジェクトの起点だと話す佐野さん。その状況をつくるために必須の「働き手や受注者が楽しい仕事」「発注者や雇用主がうれしい仕事」が生まれる背景にあるのは、熱意やビジョンへの共感だとして、それらを可視化する手伝いを「たのしごとうれしごと」で実現したいのだそう。
音声のコンテンツで企業や人のビジョンを伝え、雇用や仲間集めのマッチングを図ります。強みはライターとして活動中の自身の取材スキルがあること。あえて文章ではなく音声を使用することで、文字では削ぎ落とされてしまう「人となり」や現場の音、雰囲気を伝えたいと考えているのだとか。
現在、コンテンツのためのインタビューは着手済み。課題は作業を自分の他に任せられる人がいないことだと発表しました。
自分もポッドキャストをよく聴いているので、音声はその人の空気感が伝わると感じています。僕自身も仕事と趣味がオーバーラップしている側でもあるので、佐野さんのペルソナに近いかもしれません。「誰と仕事をするか」はお金以上に大事なことだと思うので、佐野さんのプラットフォームでそんな人同士の出会いがあったら素敵ですね。
メンター赤川さんのコメント
プロジェクトオーナー:渋谷 直樹さん
7年前につくば市で、学生同士の交流と、震災後の飲食店支援を目的にした音楽イベントを始めた渋谷さん。飲食店に限らず地域を盛り上げる音楽イベントを開催したいと計画し、プロジェクトをスタート。2022年9月には、出身地の八千代町で地元の若者主体の音楽フェス「やちおん」を開催しました。
子どもの頃、地元に娯楽がないことがコンプレックスだったという渋谷さんは、今回「民間からのまちプロモーション」という挑戦を音楽で実行。茨城ゆかりのアーティストが出演したフェスは、飲食店など60組の出店と協賛スポンサー80組、クラウドファンディングでの30万円の支援を得て、5000人の動員を達成したのだそう。
フェスを実行したことで、更に地元と繋がりたいと感じたそうで、フェス開催後に、問い合わせをもらった近隣自治体の商業施設や地元高校、老人ホームと連携し、学生の地域活動の後押しや中高年の引きこもり問題にもアプローチができたらと考えていると構想を語りました。
地域課題×フェスの取り組みは、真正面からの挑戦では解決できない課題を、斜めからのアプローチで解決できる可能性を感じました。その時どきの課題に応じて、回数を重ねるごとフェスの形は変わるのではないかと思うので、それを可視化していくと、このプロジェクトを必要とする場所から、さらに声を掛けてもらえるのではないかと思います。
メンター神永さんのコメント
プロジェクトオーナー:髙﨑 誠さん
障がい者施設で相談員として働いている高崎さんは、コロナ禍で施設の閉塞感を実感。「施設に人が来てくれるようになるにはどうしたらいいか」と考えたことをきっかけにプロジェクトに着手したそう。アーティストと福祉施設のマッチングで人を呼び込む仕組みをつくりたいと話します。
活動にあたって大切にしたい想いは、障がいについて隔たりがないように正しく知ってもらう事と、関わるアーティストにとっても障がい者にとってもwin-winの関係を構築すること。
また、施設は設備が充実していることから地域のコミュニティスペースとしての選択肢にもなりうるとして、普段関わりがないという地域の人も積極的に巻き込んでいきたいと語ります。
現在のプロジェクトメンバーは、同じ施設で働く職員と自身の妻。現在は勤務先施設をメインに活動を予定していますが、他施設での展開を見据えて、窓口となる専門職のメンバーを募集しているとのことです。
仕事で気づいた「自分ごと」がはじまりなのがとてもいいですね。地域の人にとって施設が知られていないのなら、アーティストも含めて今後の声かけが大きなポイントになる。マルシェ出店などの横のつながりづくりがこの活動の幅になると思います。
メンター柴田さんのコメント
プロジェクトオーナー:ナカガワゲンさん
「共鳴塾」
ナカガワさんは東京都出身の会社員。趣味は「PTA」で、 8年間の役員実績があるのだとか。STAND IBARAKIで行うプロジェクトの詳細な内容は現時点では未定だそうですが「本来持っている能力や得意な事を活かせずもがいている人」にアプローチしたいと話します。
活動エリアはつくば市を予定しており、「脳のトレーニング」をコンセプトに集まる人の無意識のバイアスを外し「誰もが認め合える平和な社会」を目指すと発表しました。
勢いを感じる発表でした。父として自分の子どもの教育も含め「個性をどう伸ばすか」を悩んでいるのではないでしょうか。活動にあたって、今まで培ってきたPTAの繋がりは活かせると思います。まずは同じPTAメンバーに自分の気持ちを話してみることで考えが整理されるかもしれません。最終発表に期待しています。
メンター野口さんのコメント
プロジェクトオーナー:橋本 理沙さん
橋本さんが行うのは教育旅行の行き先としての「茨城」の提案。児童や生徒に向けた遠足や修学旅行先の定番は、京都や東京だが時代が変化する中「修学旅行が100年同じスタイルでいいのか?」という疑問からスタートしたそう。
茨城には、一次産業の担い手が多い石岡市や鉾田市、最先端の研究を行うつくば市など、「子たちが自分の未来を考えるための経験」を得られるコンテンツと場所があり、かつそれらが60分ほどの移動で両方とも体験可能なことからも、首都圏からの教育旅行先に最適である、と橋本さん。大人向けのアプローチはあるが、子どもたちに向けて発信されてこなかった、担い手不足などの社会問題も「旅×学び」で解決できればと話します。
「見るだけでなく体験し、大人の考えや熱に触れる」「自分の未来を考える」ためのツアーは11月、12月に実施予定だそう。今後は首都圏へのPRを積極的に行うと発表しました。
コロナ禍で学校行事は打撃を受けた数年でしたが、同時に教育旅行の在り方を考え直せるチャンスになったのかもしれませんね。発表にワクワクしました。「茨城でこんな面白い事ができる」という旅行の実績を重ねることが結果的に宣伝となると思うので、今後も面白いことをたくさん重ねていってください。
メンター小池さんのコメント
プロジェクトオーナー:ホンモトツヨシさん
ホンモトさんのプロジェクトは、現在医療従事者2名で活動中。昨今のコロナ禍で医療従事者の疲弊が続く中、今まで近隣で開催されていた音楽フェスがなくなってしまうなど、息抜きの楽しい場がなくなってしまったことに寂しさを感じてプロジェクトが発足されました。
テーマは茨城での楽しい暮らし。メッセージ性はできるだけ無くして、とにかく分かりやすく「たのしいことだけ」発信したいのだそう。実行することの枠は決めず、県内のイベントに全参加する勢いで「全力で楽しむ実践」を行う予定です。
発信は主にInstagramを使用。医療従事者向けのオンラインセミナーは100名以上の集客実績を得た一方で、「ゆるい」イベントの集客には苦戦し、広報の難しさを痛感しているのだとか。今後の活動の場としては、音楽イベント、youtube、メタバースを含めた場作りに興味を持っていると話しました。
ひたちなか市のフェスがなくなってしまったのは寂しいですよね。医療×音楽の取り組みは考えていますか?アートの分野も専門の医療分野とキーワードでつながる事ができると思います。ただのコラボではなく、土地にある文化とつながると面白い企画が生まれそうです。
メンター赤川さんのフィードバック
プロジェクトオーナー:和田 真寛さん
「プライベートサウナのある大子町の宿」
水戸市出身の和田さんは、2022年に両親の出身地である大子町にセカンドハウスを購入し、東京都にある自宅との2拠点生活を開始。大子町の家を活用してもらうべくプライベートサウナのある宿を計画しています。「自分が思う『あったらいいな』は誰かのためになる」がプロジェクトのコンセプト。地域課題の追求よりも、自分のスキルや持ち家を利用して、自分の実践する理想の田舎暮らしを「住み開き」する予定です。家主不在の平日はサウナ付き物件の一棟貸し、週末は宿を使ってのイベントを想定しています。
2023年1月には着工中のサウナが完成予定で、現在、宿の正式名称の決定や、予約システムの導入を検討中。クラウドファンディングでの資金調達も予定しています。メンバーは現在3名ですが、本格稼働に向け、宿やサウナの運営スキルのある仲間をさらに探していると話しました。
想定される問題をひとつ一つ潰して、きちんと前に進んでいる気がします。和田さんがサウナと宿をやりたい理由が伝わり「こんな人を紹介したい」「こんな体験ができそう」が浮かびました。オープンにあたっては、ユーザーが数あるサウナの中から大子町を選ぶための誘導導線をつくりファンの心を掴めたらと思います。
メンター中川さんのコメント
プロジェクトオーナー:宇田川大介さん
「地元も、世界も。あっと驚く「下館」に〜下館京師会 市街地魅力向上・発信プロジェクト〜」
「1000年先もこの街がみやこであるために」がコンセプトの宇田川さんのプロジェクトは、自分が住むまち下館の地域資源をブラッシュアップする取り組みです。活動指針として掲げるのは「UPDATE SHIMODATE」。下館をもっと「推せる街」にすべく、まちの活動を行っているそう。
今までには、下館駅の植え込みをウェルカムガーデンとして整える、駅の通路脇をまちの伝統行事に因んだ玉石敷きにする、駅の看板をレトロ仕様のデザインに変えるなどの整備を実行。駅を拠点に、まちの魅力向上を図ります。
今後は、関東鉄道常総線のホームの現在使用されていない箇所を舗装したいと話す宇田川さん。材料には県西の産業のひとつである石材を使用する計画なのだとか。駅の整備をテーマに、真岡鐵道との連携も視野にプロジェクトを進めます。
街の景色を変えるような取り組みだと思います。ターゲットは、まちの中の人か、外からやってくる人かの想定はありますか?いずれにしても、宇田川さんの活動はパブリックな交渉が必要な部分も多いものになるかと思います。地域に根づきながら、地に足ついた活動を少しずつ進める事を大事に頑張ってください。
メンター柴田さんのコメント
プロジェクトオーナー:板谷 隼さん
シェアハウス「Co-Living はちとご」を運営する板谷さん。地域での場づくりの一環として住み開きを実践すること1年。地域の学生や若手社会人に活動の認知がされたことを実感する一方で、子育て層や子ども、中高年の住民との交流ができていないことを課題に感じたそう。STANDのプロジェクトでは、年齢や世代を問わないツール「本」をきっかけにした場づくりを模索中です。
現在までに、自身で所有するシェアハウスがある強みを活かし、イベント「はちとご読者タイム」を定期的に実施。読書会に付随してイベント終了後は対話の時間を設け、地域の住民へのアプローチを行ってきたそう。図書機能を「はちとご文庫」と名付け、まちライブラリーに登録したことでもSNSのフォロワー増えるなどの手応えがあったのだとか。また、シェアハウス内に留まらず、屋台に本を乗せて公園に持ち出す試みも実行したとも話します。
イベントや本の屋台は今後も継続実施の予定ですが、本業との掛け持ちであることから、いかに時間を作るかが現在の課題。運営の持続のためのマネタイズ方法も検討中と発表しました。
板谷さんは行動力と人を繋ぐ力がある人だなと思いました。お金に関してはスペースやはちとご文庫の利用者さんに協力してもらうのが一番よいはず。発表で使用されていた親子の写真が特に印象的だったので、プロジェクトメンバーに子育て世代を迎えるのも良い結果を生みそうです。
メンター小池さんのコメント
中間報告会・総評
全参加者の発表終了後には、メンター樋口さんから全体を通しての総評を頂きました。
樋口さん
それぞれが、この数ヶ月間どんな課題にフォーカスして活動してきたのかが分かる発表でした。みなさんは、今回発表するにあたって、自分の考えや行動のプロセスを言語化する作業を行ったかと思います。「言葉にする」というのは、自分の考えや計画の「空白地帯」に自分で気づく事ができる大切な機会。STANDでは、自分では足りない部分をどう埋めるかを一緒に議論する仲間が見つかるのも良いところですね。みんなでアイデアを出し合うコミュニケーションの大切さをあらためて実感しました。
全体の発表を通して、共通の課題だと感じたことは「運営を持続する」為の視点について。原資はやはり必要で、他にも持続可能な仕組みづくりの課題はたくさんあるはず。「想い」だけではぶつかる壁があるので、STANDの最終発表までの半年間で、自分が取り組むべきことをより明確化して周囲の参画も促して欲しいと思います。
メンター講義
中間報告会のメンター講義を担当するのは建築家の神永さん。自身の「場づくり」の事例・シェアスペース「アキナイガーデン」が地域で果たす役割と、神永さんが得た気づきをシェアして下さいました。
◎神永侑子さん
建築家
1990年茨城県北茨城市出身、横浜市在住。YADOKARIでアーキテクチャーデザインユニット、個人ではパートナーの梅村とシェア店舗アキナイガーデンを営み、建築の専門性を広くひらくことを目指す。新しいライフスタイル「〇〇暮らし」にまだ見ぬ悦びを期待し、自らの人生を投じて生きる。
▼「商い暮らし」は循環する暮らし
横浜の下町・弘明寺商店街にある水谷マンション。その一階にある「アキナイガーデン」は「小商い」の場所を目的としてつくられたシェアショップです。同マンション内には同じく神永さんらが運営するシェアハウスがあり「ショップスペースを家のリビングの延長として使用し、開いた時間を地域プレイヤーに提供する」という「住み開き」のスタイルを採用しています。
神永さんがここで実践しているのは「商い暮らし」というライフスタイル。店舗と商店街、住居(シェアハウス)を「順ぐり」暮らす生活です。
店舗に限らずシェアハウスの機能を物件内に持たせたのは、神永さん自身が長くシェアハウスで生活した経験があり、「誰かと生活を共にすることで起こる偶然性」を実感しているから。他人を知ることで、自分自身がアップデートされる感覚を得る事ができると話します。
▼小さい場所というメリット
「アキナイガーデン」の特徴のひとつは3坪という小さなサイズ感であること。小さなスペースというのは「活動の密度が高くなる」ため、そこを使用する人の、達成感や充実度がアップするという利点があるのだとか。
また、神永さんたちは、スペース内をさらに小さくゾーニングして使用しているのだそう。理由は、それによって小さな店内を有効に使えるから。
「その場所で『どんなことをして欲しいのか』を想像してゾーニングすることで、小さなスペースでも有効に使ってもらう事ができます。私たちの場合は、2〜3人で使用することを想定したつくりで、それぞれ『窓辺のベンチ』『カウンター席』店舗から外に出て『商店街と店舗の間のベンチ』と整備しています。ゾーニング自体は工事をしなくてもすぐ実行できることなので、場づくり実践中のみなさんもぜひ真似してみてくださいね」
▼「シェアタウン」という暮らしの気づき。
「私たちのアキナイガーデンは、店舗になったり、ワークショップスペースになったり、コーヒー屋さんになったり、日頃の肩書きとは別の顔で店に立つことを実践できる場所です。この場所ができてから、ただ街に住むだけでは得られなかったであろう接点をまちや住む人と持つ事ができ、日常に豊かさを感じることができるようになりました」
そう語る神永さん。このまちでの「商い暮らし」行った結果、さらなる気づきと結果を得たのだそう。
「最近では自分が住む弘明寺エリアに 『シェアタウン』という感想を持ち始めました。暮らしをまちで共有するLet’sがいっぱいあるんです。『夜になったら一緒に線香花火をしよう』『ごはんにしよう』『イベントのコラボをしよう』 まちというより、みんなが近所さんの感覚で、みんなでまちを使っているという気持ちが芽生えています」
神永さんたちの活動と街全体が作用しあって、近年「暮らす人の顔が見えはじめた」という弘明寺エリア。この数年間で、従来のファミリー層に加えて、暮らしや生き方に対する感度が高い層の流入が増えていると言います。
▼「キーとなる場所」が暮らしの輪郭を重ねる
弘明寺の例では、アキナイガーデンが起点のひとつとなったように、「キーとなる場所」があり、かつ「人」が見えると、点同士、プレイヤー同士が繋がりやすいと振り返る神永さん。それぞれが持つ異なる「自分の暮らしの輪郭」に入ってくる他者と、同じ暮らしの重なりを見つけると次につながるというのが最近の体感なのだとか。暮らしの重なり方を色々な人と探る事で「未来を、街を、動かすことさえできるようになる」と教えて下さいました。
おわりに
これまでに行われたフィールドワークや各回の講座での学びを、それぞれが自身のプロジェクトに落とし込んで実施してきた数ヶ月間。その試行錯誤の過程が見える中間発表会となりました。メンター陣のアドバイスは、プロジェクトを進める本人からは見えにくい部分の改善点や、検討のポイントに気づく機会となったのではないでしょうか?2月に開催の最終プレゼンピッチに向けての勢いと決意が会場から感じられる1日のおわりとなりました。
▷STAND IBARAKIとは
茨城をフィールドにあなたの想いをカタチにする学びと実践のプログラム。
地域のキーパーソンからの学びや、つながりを得ながら「自ら設定したプロジェクト」のプロトタイプを実践します。メンターとして迎えた県内外の地域プレイヤーからのサポート・フィードバックを受けながら挑戦できるのも特徴。あなたのはじめの一歩を応援します。
◎STAND IBARAKI (facebook) https://www.facebook.com/standibaraki
◎茨城移住計画(facebook) https://www.facebook.com/ibarakiiju
◎STAND IBARAKI https://standibaraki.jp
お問い合わせ ibaraki.iju@gmail.com
【主催】茨城県
【運営】茨城移住計画