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活動レポート

DAY1|フィールドワークレポート後編【STAND IBARAKI 2022】

前編に引き続き、大洗町とひたちなか市をまわるSTAND IBARAKI2022フィールドワークの様子をお届けします。

開催概要

開催日時/場所
2022年9月3日(土)/大洗町
2022年9月4日(日)/ひたちなか市

フィールドワークレポート@ひたちなか市

朝は爽やかな海風に吹かれながらビーチクリーンを行いました。前日のフィールドワークや懇親会での交流もあってか、早朝から和やかな空気が流れるなか、2日目のスタートです。   

メンター紹介&ミニ講義

ビーチクリーンのあとはいよいよ活動開始。フィールドワークの前に、今後プロジェクトの相談役となってくれる心強いメンター陣の紹介と、専門領域や現在の取り組みを知るミニ講義を受けます。

▼神永侑子さん/建築家(アキナイ・ガーデン/YADOKARI)

専門分野:企画、建築、空間デザイン、小商い、運営

◎事務局コメント

建築家の神永さんが共同主宰するアキナイガーデンは「小商」がテーマのシェア店舗。チャレンジがしたい人向けの場づくりをトータルでコーディネートしています。交流が生まれる場作りやシェア空間、小商のキーワードにプロジェクトを進める時、アドバイスをいただきたいメンターさん。

▼ 中山佳子さん/一級建築士

専門分野:都市計画、エリアマネジメント、グラフィック

◎事務局コメント

建築家として、グラフィックから都市デザインまで、幅広い領域でのデザインアウトプットを提案している中山さん。プロジェクトのスケール、目線を変えた視点からの提案を欲する時、心強いアドバイスを貰えるメンターさんです。

▼高木真矢子さん | 合同会社 JOYNS CEO/水戶経済新聞編集⻑

専門分野:クリエイティブ(企画取材執筆)・PR・メディア・プロモーション・サイクリング

◎事務局コメント

ライターや編集者として幅広いジャンルでPRに携わる高木さんは、メディアの種類を超えて幅広く広報の領域をカバー。SNSを使ったプロモーション等の相談に乗っていただけるメンターさんのひとり。

▼赤川純一さん |  オーディオビジュアルアーティスト

専門分野:音楽・音・映像・アート・パフォーマンス・プログラミング・インタラクティブ・センサー・環境

◎事務局コメント

音の情報を可視化してビジュアル化する活動に携わる赤川さん。京都府からの依頼を受けた実績から、アートによるビジネスや、行政と連携した仕事づくりについてのお話も伺うことができます。

▼飯野勝智さん |  建築家/YUI PROJECT

専門分野:建築・リノベーション・まちづくり・イベント

◎ミニ講義

自身の建築事務所NIDOとYUI PROJECTをリンクしながら結城市で活動中。YUI PROJECTの結成は、地元の良さを伝え残したいという想いからはじまり「人と人・人と街を結ぶ」がキーワード。「ひとりでできないこともみんなで集まれば出来る」をプロジェクトで体現し続け、1活動期間が10年を超えた今、街が生まれ変わってゆく姿を目の当たりにしているのだとか。現在は、結城市に宿を作るべく着工中。

▼野口純一さん |  結城商工会議所/YUI PROJECT /日本フェス協会

専門分野;インベントブッキング’(事業窓口)、補助金、ファッション、音楽、サブカルチャー

◎ミニ講義

2007年にアパレル業界から「まちづくり」に携わる商工会議所に転職後、2010年に人と街を結ぶYUI PROJECTを発足。立地から若年層が流出しやすいという結城市のデメリットも、他地域から足を運びやすい長所と捉え活動中。どんなチャレンジもいきなり地域に浸透させることはできないので、その土壌作りを担うのがYUI PROJECTと話します。現在の自らの立ち位置は「チャレンジしやすい土壌づくりを行う『菌のヒト』」。

▼小池隆夫さん |  グラフィックデザイナー/専門学校講師

専門分野:デザイン、思考整理、教育、学生連携 

◎ミニ講義

自らの専門であるグラフィックデザインは、「らしさ」を育てる領域の仕事だと話す小池さん。プロジェクトや組織を育てるにあたって大事な要素は「思い」「行動」「視覚」の3つの一貫性で、「らしさの一貫性」は、ブランドやプロジェクトの価値を最大化させる効果があると語ります。デザイナーとしては、視覚の分野を主に担うものの、3つの要素の相互作用が起こるのがプロジェクトであるとして、デザインが関わる人の「思い」や「行動」に与える影響についても語ってくれました。

▼中川ケイジさん |  日本ふんどし協会

専門分野:メディアへのPR(仕掛け方)、プレゼンテーション、クラウドファンディング

◎ミニ講義

中川さんによるふんどしブランド「sharefun」。現在では数々の受賞歴や、雑誌・WEBへの露出など話題に事欠かないsharefunも、事業立ち上げ当初は、月商4000円、月売上2枚からのスタートだったのだとか。誰もが自分の商品や企画を「良い」と思って事業を立ち上げるが、存在が認知されるのは最初は至難の業。ただ、中川さんの場合メディアに出て自らPRすることは得意と気づいたことから、認知度をあげることに成功したのだそう。とはいえ月商4000円から事業を続けてこられたのは自分のプロダクトを信じていたから。「天才は努力する人に勝てず、努力する人は楽しむ人に勝てない」と中川さんはメッセージを残しました。

▼樋口康太郎さん | (株)WAT Inc

専門分野:飲食、コミュニティビルディング、アイデアの実装、運営サポート

◎ミニ講義

飲食店を運営する(株)WATの事業は、行政や企業が運営する公共の場にコミュニケーションの場としてのカフェを企画し「まちづくりのソフト」をインストールするパートナーとしての機能を果たすことが多いのだそう。COO(最高執行責任者)を務める樋口さんが担う領域は、プロジェクトの「着想→実装→運用」のうちの「運用」フェーズ。誰もがやりたがる企画のアイデア出しに対し、あまり手をあげる人が少ないという着想を「運用可能な状態に整備する工程」が得意と自分を分析する樋口さん。アイデアを聞くのは好きなので、STANDでも着想の具現化の手助けができればとコメントを下さいました。

▼山川知則さん |  VUILD(株)/波と風

専門分野:地域資源の利用、家具、オフィス、住宅、空間づくり

◎ミニ講義

オフィスの設計会社で、国産材木による空間プロデュースや家具の企画に携わった経験から、地域資源の利用を考えるのが得意領域と語る山川さん。現在は VUILD(株)で住宅の立ち上げに関わります。「全体性を発揮しやすい環境をつくる」ことが自身のパーパスでありミッションだと捉えていると話す山川さんにとって、現在行っている取り組みは全て、それが叶うオフィス環境づくりや、時間、空間作りを叶えるもの。代表を務める波と風のWEBサイトでは、「空間作りに色々な人を巻き込むため」のお役立ちツールとしてKPTワークのテンプレートシートなどを無料配布中です。

▼柴田大輔さん |  はじまり商店街

専門分野:まちづくり、場づくり、イベント運営、長期的ファン作り、研修

◎ミニ講義

「はじまりをはじめる」をコンセプトに、イベントや研修、自治体による関係人口創出事業などに加わり、にぎわいづくりを行うはじまり商店街。まちづくり、場づくり、ファンづくりの3つの事業の特徴から、運営するイベントは年間300本を超えるのだとか。ただしイベントが目的でなくあくまで「きっかけ」を作るための仕組みだと柴田さんは念を押しました。はじまり商店街は、イベントに限らず、カフェ、団地、商業施設等、さまざまな場所でコミュニティビルディングに携わり、最近ではノウハウを活かして交流を生むコワーキングスペースも運営中。PJオーナーたちに向けて「困難を一緒に楽しめたら」とコメントをくださいました。

ゲストによる阿字ヶ浦での活動事例のお話

①イバフォルニア・プロジェクト/小池伸秋さん

全盛期には300万人が訪れる人気海水浴場だった阿字ヶ浦の利用者が2019年時点で7.3万人にまで激減したことを受け、賑わいを取り戻すべく始まった構想は、「夏に限らず一年を通して人が集う場所」を願い「イバフォルニア・プロジェクト」と名付けられスタート。第一弾イベント「イバフォルニア・マーケット」は2日間で三千人の来場を記録。続づけてイベントではない場づくりとして、コミュニティ&コワーキングスペース「イバフォルニア・ベース」をオープンします。その後、コロナ禍で通常イベントは休止を余儀なくされますが、車内から映画が鑑賞できるドライブインシアターや、ワーケーション向け企画など時代にあった形の関わり方を提案し続けています。                                                                                

②SETTEN/戸板咲紀さん

在籍する大学がリモート授業になったことをきっかけに、茨城にUターンした戸板さんによるプロジェクト「SETTEN」。県内ですでに活動している人や仲間になかなか出会えなかったという自身の経験から着想が生まれたのだとか。プロジェクトの軸は、「茨城の人を知り選択肢を渡す」「地域課題に寄り添う人と、接点が持てるようにつなぐ」「暮らす人と共に活動する機会の提供(ささえる)」 の3つで、戸板さんはUターン後、知り合いの力を借りて自分ができることを小さくやってみた結果がこのプロジェクトになったと語ります。

直近では、20代向けに茨城とつながるイベントを開催したそう。                                                            

◎フィールドワーク

メンターのミニ講義と阿字ヶ浦での先行事例の発表のあとは、昼食を挟んで那珂湊へフィールドワークに向かいます。公共交通機関で参加のPJオーナーたちは、ほしいも神社を見学後、阿字ヶ浦駅からひたちなか海浜鉄道を使用し那珂湊駅へと向かいました。

①ほしいも神社

ほしいも生産量日本一を誇る茨城県の中でも特にほしいもの生産が盛んなひたちなか市。「ほしいもづくりにより生産者や町の住民が受けた恵への感謝と、今後もほしいもづくりが続くことを祈願して」令和1年に建立された神社がほしいも神社です。

②那珂湊駅 

那珂湊の歴史は古く、江戸時代より東北から下ってきた船の荷上げが行われ栄えた土地なのだそう。来年110年周年を迎える「ひたちなか海浜鉄道」那珂湊駅のホームは、その歴史を反映し奥行きのとられた大きな作りで、かつて港からの荷物を全国へ運ぶ玄関口であった頃の名残を今に残しています。

ひたちなか海浜鉄道/吉田社長

廃線の話が持ち上がったのは2007年のこと。合併により街の機能が旧勝田に軒並み移転するなか、街に何もなくなることを不安視した地域の住民が立ち上がった事で、第三セクターとして存続が決定した鉄道路線なのだそう。そんな背景を受けて「地元が応援団になってくれている」と吉田社長。利用者に発行される乗車証明は、商店街のクーポンとして利用できる他、構内で定期的に開かれる朝市は、地元住民で賑わう人気イベントとして根付いたものとなりました。 また、吉田社長によれば、当初鉄道とアートを組み合わせたMMMの取り組みも、現在では駅や車両を飛び出して、那珂湊全体の象徴になっているのだと言います。    

③始初プロジェクト/ 吉野健太さん(if designproject 鉄道チーム)

「始初(しはつ)プロジェクト」は、ひたちなか海浜鉄道沿線でさまざまな企画を実施し、地域の人に「はじまりの一歩」の思い出と共に地元への愛着を積み重ねてもらおうとスタートしたプロジェクト。最初の企画は、今年の7月に開催した「磯遊びのはじめ」という子供向けイベントで、ひたちなか海浜鉄道の車両内で磯の勉強をしながら目的地の海に向かい磯遊びをするというもの。結果は大盛況で、終了後のアンケートでは、それぞれ9割が「はじめてひたちなか海浜鉄道に乗った」「はじめて磯遊びをした」「とても満足」と回答し、「はじめて」の創出を体感することが出来たのだそう。

PRのポイントは、「情報が整わない段階でも、恐れずSNSに投稿する事」と吉野さんは教えてくれました。

④MMM(みなとメディアミュージアム)/臼田那智さん

MMM(みなとメディアミュージアム)は那珂湊エリアで2009年から続く夏の芸術祭で、期間中はアーティストによる作品が那珂湊の駅や車両、まちなかに並びます。この日のフィードワークで足を踏み入れた車両の窓に、白い文字で書かれた物語はこのMMMの展示のひとつで、車窓の風景と共にストーリーを楽しむ作品。MMMの展示期間終了後も吉田社長の計らいにより、展示が続いているのだそう。

臼田さんは、アーティストとして2016年のMMMに初出展し、翌年には那珂湊へ移住。現在は那珂湊で活動中です。最近では、MMMの運営メンバーのひとりとして、市の養成を受けた空き家対策に参加中。リノベーションされ「みなとのおへそ」と名付けられた空き家は、今後は地域の交流拠点となることが目標です。              

▼最後に

2日間にわたって同じ空間を共有しながら「プロジェクトに取り込む先輩たち」や、メンター陣の話を聞くフィールドワークは、プロジェクトオーナーたちに、「実例を知る」というだけではない沢山の学びを残したのではないでしょうか?また、講座の合間や空き時間にPJオーナー同士の交流が生まれるのもリアルの出来事ならでは。次回からはいよいよPJづくりのステップに入りますが、参加したPJオーナーのみなさんが少しでも心強さを感じてくれているなら良いなと思います。


▷STAND IBARAKIとは

茨城をフィールドにあなたの想いをカタチにする学びと実践のプログラム。

地域のキーパーソンからの学びや、つながりを得ながら「自ら設定したプロジェクト」のプロトタイプを実践します。メンターとして迎えた県内外の地域プレイヤーからのサポート・フィードバックを受けながら挑戦できるのも特徴。あなたのはじめの一歩を応援します。

◎STAND IBARAKI (facebook) https://www.facebook.com/standibaraki

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◎STAND IBARAKI https://standibaraki.jp

お問い合わせ ibaraki.iju@gmail.com

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【運営】茨城移住計画